岩居20代前半、勤務していた大阪の岩田ゴム商店で(左側)。当時の「ゴム」は、近代工業の先端を表す素材だった。
昭和16年、明治神宮で行われた「国民体育会」に選手として出場した時の岩居(左から２人目)。
岩居は、国立群馬大学学芸学部弓道部で学生を指導した。同学部昭和38年卒業記念写真。
岩居は、各地の武道館などでゴム弓を用いて初心者の指導に当たった。昭和43年頃の指導風景。 |
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「ゴム弓」は、当店の創業者高坂岩居が発案し、開発したものです｡岩居は、昭和初年に群馬県前橋市で高坂ゴム店を創業し、店を営むかたわら、弓道愛好家としてゴム弓を生み出しました。
岩居は、明治30年(1897年)群馬県荒砥村(現前橋市)に生まれました。商業を志して当時最先端の素材だったゴムに注目し、大阪の岩田ゴム商店に勤務し、仕事を学びます。帰郷して前橋市竪町(現千代田町、その後住吉町に移転)に高坂ゴム店を創業。草履、下駄が普通だった時代に、ゴム靴、ゴム合羽、また、ビニール合羽、ゴムチューブなどを扱い大繁盛します。
昭和初年、身心の鍛錬のため弓道に入門し、高麗長太郎範士の指導を受けます。着実に実力を上げて段位を重ね、後進の育成に努めるようにもなりました。手元に弓具が無くても練習できる用具が欲しいと思っていた所、来県された大平射仏先生から、ゴム管を使った引き分けの練習法を教わります。これをもっと使いやすい道具にしようと、家業のゴムを利用し、苦心の末「ゴム弓」を考案します。
当時、こうした練習具は無かったので周辺の話題を呼びました。岩居は初心者や学生弓道部の指導でこれを用い、効果を実感します。薦める人があり、実用新案としても認められました。
以後入門者への指導や、自分の鍛錬のために、常にゴム弓を身近に置いて利用し続けました。平成7年99歳で永眠。
弓道教士七段。戒名岩徳常心居士
審査会での模範射（昭和38年頃、手前が岩居） |
